藤沢の住まい

こんにちは。月明設計室の中込です。

気が付くと今年もあと残り2か月。暖かすぎる気候のせいかまだ冬を感じることがほとんどありませんね。急に寒くなるのですかね。日常の業務に追われ、しばらく間が空いてしまっておりました。

夏にお引渡しをさせていただいた「藤沢の住まい」のお話をさせていただきます。建替えの計画になります。計画がスタートしたのは2022年6月。当初は建替えではなく、改装工事を視野に入れられていたのですが、ご要望を満たす為の費用感のお話をさせていただき、今後を見据え、住まいで過ごす時間のことを大切に考えていただき、新築工事で計画することになりました。

写真は周辺を歩いているときに撮影したものになります。

自然環境豊かとはいえないかもしれませんが、どんな場所でも地球を感じる場所があります。空がとてもきれいでした。夕暮れ時のとても良い時間です。月が出ていますね。

何でもない日常の中でも、こういったささやかな豊かさってありますね。届く人にはちゃんと届く、こういう情緒を大切に住まいを考えたいと思っています。少し大袈裟な言い方に聞こえるかもしれませんが、地球とつながる感覚を味わえる場所って大切だと思うのです。

住まいでどう地球とつながるか、つながり方が大切で、つながり方を考えるのが、私の役割だと思っています。そういう意識があるとないとでは、大きな違いが住まいに生まれると思っています。

敷地は旗竿地で、周囲を家々で囲まれた難しい場所でした。

そこで家々の隙間から感じることのできる光や風といった恵みを取り入れるように間取りを計画しました。眺めるような景色ではないかもしれませんが、こういった密集した場所にあっても1階レベルで空を感じることのできる窓を計画できたのは良かったかと思います。

延床面積23坪のかわいらしい住まいの計画です。

物語は色々あります。

元の住まいで眠るようにあったフランク・ロイド・ライトのスタンドライトを住まいの中心に据えました。この住まいの顔です。

茅ケ崎の古道具屋さんで見つけた古家具を、天板と背面を造作で付け足し、リビングを区切るパーテーション家具にしました。足された部分が全く違和感なくきれいに仕上がり、ライトの照明との相性も抜群で、この住まいになくてはならない場所になりました。

ソファーは造作で制作しました。もうすでに家を出ている息子さんからのプレゼントとして計画しています。素敵ですね。そして、製作は吉村順三さんの折りたためる椅子で有名な丸谷さんのお弟子さんが製作してくださっています。ありがたいご縁です。

リビングの窓は、南側の光をたくさん享受できるようにハイサイドに計画していますが、低い位置にストライプガラスを加え、外を歩く人と視線が合わないようにしています。ガラスに光が当たるとまた良い表情を見せてくれます。

キッチンもハイサンドに大きな窓を計画。明るい窓がキッチンにあると気持ちがいいものです。空模様もよくわかる窓です。

ダイニングは元の住まいと同じ場所に計画しています。とても静かで落ち着く場所でした。ここでは上部からの視線を遮るよう高さを抑えた窓を計画。その分,横に大きく広げています。家々の隙間から気持ちの良い光が差し込んできます。ここに周辺から守られた小さな緑のお庭を計画。まだ完成までしばらくかかりそうですが、今は縁側もでき、どんどん良くなっています。

そして季節や時間により変化する空の様子を感じたり、光の表情を豊かにとらえた場所をたくさん計画しております。なんともない場所でも計画次第で、魅力的な場所になります。

敷地に隠された魅力を引き出し、その場所でしか味わえない世界を住まいの中に表現できると、そこに住む人には豊かさが届くものと思っております。

写真はすべてお引渡し時に撮影したものなので、これから住まいがどのように変化して落ち着き馴染んでいくのか楽しみです。

今回、工事をしていただいた工務店さんは、「茅ケ崎の住まい」でもお世話になった茅ケ崎の久保田工務店さんです。

また今回の「藤沢の住まい」の建主のKさんは、「茅ケ崎の住まい」をとても気に入っていただいた経緯もあり、打合せ中に「茅ケ崎の住まい」を見学していただいたので、お引渡しでは、逆に「茅ケ崎の住まい」の建主のYさんにご見学いただきました。設計者も工務店も一緒なので、兄弟のような住まいに感じられます。また建主さん同士のつながりも生まれ、私としてはとてもうれしい時間でした。

その「茅ケ崎の住まい」ですが、この度、第65回神奈川建築コンクール住宅部門で優秀賞を受賞いたしました。神奈川県の歴史あるコンクールで評価を得られたことがうれしいです。何より、建主のYさんと久保田さんとまた別の形で喜びを分かち合えたことが、うれしかったですね。励みになります。

私が目指している住まいは、形の奇抜さを追い求めたり、紙面に掲載されることを目的としていないので、写真では伝わりずらいと思っているのですが、建築家の内藤廣さんが言われていた言葉が胸に響きました。「面白味のある価値のないもの、面白味のない価値のあるもの。…今の建築界は、パッと見の面白さはあるが、すぐに忘れ去られていくものが多い。一方、地味だけど時間の経過と共に価値を感じ、大切に使われていくものもある。」というようなお話だったかと思います。私の目指しているものはある意味「面白味のない価値のあるもの」なのかもしれません。

シンプルな造形の中に、隅々まで思いの通った計画が、時代の流れに色褪せることなく、ずっと長く愛され続ける力ももっているのだと信じているのだと思います。

今回ご紹介させていただいた「藤沢の住まい」はそういった思いをたくさん込めた住まいです。これから永く愛される住まいになることを切に願っております。

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椅子を置いてみた 大きな掃出し窓のそばに なんだか居心地良さそう 見るような眺めはないけど空が見える 直接ひかりがあたってないのに 明るくて 爽やかで 清々しい 椅子もうれしそう ちょっと休憩したり 本を読んだり お茶を飲んだり そこで過ごす時間がお気に入りになった 縁側のような場所ができた - そこに在る豊かさ ささやかないい時間 いい住まいのご提案をさせていただきます -  

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