サンクンリビング

 こんにちは。月明設計室の中込です。

 以前ブログでデンマークのハマスホイという画家のお話をさせていただきました。ハマスホイは、19世紀後半から20世紀にかけて、デンマークの自然や、ありふれた日常の暮らしの中に潜んでいる美しさを描いた画家です。

 私の好きな一枚の絵があります。

イーゼルのある部屋

「イーゼルのある部屋」

 1910年、ハマスホイ自身が住んでいた部屋をモチーフに描いた絵です。

 …ちょっと、私の描いた絵ではその良さが伝わりずらいかもしれませんが、、、

 光が綺麗なのです。横から差し込む自然光。壁を伝う光。光で照らされたものが表情を現し美しさを放つ様子。光と影のグラデーションが深みをつくっています。なんでもない日常の中に潜んでいる美しさをよくわかっている。

 直接的に光源を見るのではなく、照らされた対象に美しさを見い出す。綺麗な光を感じる場所には静けさが同居しているようです。とても静かな時間が流れています。

 特に私が好きなポイントは、手前と奥の関係です。奥の部屋は気配を感じますね。手前の部屋も奥の部屋も横から差し込む自然光で照らされている。奥の部屋は一部しかその様子を垣間見る事ができない。見える一部に置かれた視対象に美しい光が照らされている。全貌が見えないから余計に美しさを感じるようです。自然と想像力をかき立てられます。潜む豊かさ、とでも言いましょうか。

 先日、お引渡しさせていただいた茅ヶ崎の住まい。

 個室の引き戸を開けた時、隣接する食堂の先、薪ストーブのある居間の様子を見た時に、この絵の事を思い出しました。

 壁を伝う光はいいものですね。

 間取りでも機能でもないですが、こういう世界をつくれたことは、満足満足、自己満足です。…大事大事、そういう気持ち。自然の光がその時にしか味わえない場所をつくりだしている。醸し出される空気感がいいです。

 薪ストーブは、建主たっての希望で、長野県のイエルカ・ワインさん制作の薪ストーブです。他にはない特徴的なデザインで、お料理もできるタイプになっています。横から差し込む光が、本体の表情を浮かびあがらせていますね。

期間限定のトップライトです。なんだかわかりますか?

薪ストーブの煙突を取り付ける為の穴なんです。

 珪藻土の壁や天井の表情を浮かび上がらせ、とても綺麗でした。このぐらいのサイズ感のトップライトも良いですね。

 居間は、他の部屋より一段下がった土間のようなレベルで計画しています。建主のお友達からサンクンリビング(一段下がったリビング)と命名してもらいました。なるほど。

 火を囲むような場所をつくりたいと思いました。

 パチパチ音のする火を眺める時間は最強です。住まいにおいてなかなかこれに敵う豊かな時間はないのではないでしょうか。

 窓から見える景色をゆったり眺められるよう右側の壁にはお手持ちのソファーを配置する予定です。そしてもう一つお手持ちのちゃぶ台を設置すると完成です。

 想像しています(勝手に)。ご友人の多い建主の事ですから、きっとご家族やご友人を招いてここで時を過ごすことが多いのかと思います。火を囲みながら過ごすその時間は、記憶に残る豊かな時となることでしょう。羨ましい限りです。

 そうしていつか時間の経過と共に愛されていく住まいになることと思っています。

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椅子を置いてみた 大きな掃出し窓のそばに なんだか居心地良さそう 見るような眺めはないけど空が見える 直接ひかりがあたってないのに 明るくて 爽やかで 清々しい 椅子もうれしそう ちょっと休憩したり 本を読んだり お茶を飲んだり そこで過ごす時間がお気に入りになった 縁側のような場所ができた - そこに在る豊かさ ささやかないい時間 いい住まいのご提案をさせていただきます -  

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