- そこに在るもの -

 こんにちは。月明設計室の中込です。だいぶ間が空いてしまいました。

 常に心にゆとりを持たないといけませんね。心にゆとりがあるかどうか。じっくり本が読めるかどうかで私は判断します。しばらくじっくり本を読んでいませんでした。本は常に読まないといけないと思います。本を読まないと想像力がなくなる、何より考える力がなくなる。そう事あるごとに、教えてくれるのは安藤忠雄さんです。先程見たYOUTUBEでそんな話をされていました。「建築とは、人間が出会って考える場所」と安藤さんは言います。安藤さんは常に、「考えろ、考えろ、24時間考えろ」と昔から言っておりました。…考えます。

 忙しさもちょっと一段落、と言いたい所ですが、まだしばらくバタバタしそうです。なので今回少しまとめてお話ができればと思います。

 あっという間に、間もなく開業して一年になります。なかなか簡単に人に会ったりできないご時世ですが、そんな中でもたくさん良い出会いがありました。充実した時間を過ごしました。何をするにも一人で行っておりますので、時間がかかります。その分、気持ちが込められます。常に一喜一憂。計画し、詳細を考え、予算調整、工事へ、完成へ。全てが今までに経験した事のないような、苦しみと喜びがありました。…去年のクリスマスは本当に胃が痛かった。その苦しみ以上の喜びが完成時にはありました。感謝感謝です。

 実例として写真をまとめたいと思いますが、なにぶん撮影も選定も構成も文章も掲載もすべて一人で行っておりますので、少し時間がかかるかと思われます。なので、少しですが、この一年で設計させていただいた3物件について、ご紹介したいと思います。

実例1-川崎の住まい-

洗面室と御手洗の改装工事です。洗面室と御手洗だけの改装工事だったので、工事も月明設計室で行いました。普段は設計しかしませんので、今回は特別です。…たぶん、もうしないと思います。(すみません。)現場をよく見るいい機会と思い、工事を行ったのですが、工期が約一カ月の住みながらの工事。ほぼ毎日のように現場に通った為、慣れない事もあり、その他の設計業務がなかなか効率が上がらず、私には向いていないと自己評価してしまいました。(すみません。)

ですが、とても有意義で意味のある時間でした。大変勉強になりました。完成の具合もとても良いと思います。(自己満足。)普段、事務所で机の上でひたすら図面を書く日々を過ごしておりますので、現場はやはり楽しいですね。(それは昔からわかっています。)職人さんの作業を間近で見ていられるのは良いものです。色々お話ができるのが良いですね。納まりの事はもちろん、普段その職人さんが気にしている事、手間のかかる仕事、段取りや効率的な作業の仕方、注意事項、たくさん考え、学ぶ所がありました。何より職人さんそれぞれが色々と実は配慮してくれているという事を知れたのが、嬉しかったです。

普段、設計しているだけでは気が付かない事をたくさん感じる事ができたのは大きな財産になりました。

もう19年も前になりますが、設計事務所に入りたて新米の私が、五反田の居酒屋さんの店舗改装工事の常駐監督(実際は掃除係)としてそれこそ約一カ月、立ち会っていた頃を思い出します。

いい意味で初心に帰る。

洗面室と御手洗だけの工事ですが、図面は19枚(加工図を入れると21枚)書きました。なかなか難題が多く、解決策を考えるのに頭を使った現場です。たくさん考えた事が良い結果につながったと思います。

私の知る限り、戸建て住宅で日本一長い洗面化粧台だと思います。

長さ3.5mあります!

この計画では、北側の窓の明かりを利用し、室全体が気持ちの良い場所になるよう考えました。

実例2-大倉山の住まい-

マンションの改装工事になります。クリスマスに胃が痛くなった現場です。(…しつこくすみません。)その分、完成時は離れがたいような素敵な清らかな空気感のある住まいになりました。ドラマがたくさんあった現場です。一度にお話するのはもったいないので、別の機会にお話いたします。

計画当初、いや、工事着工時から完成までの間に、格段に住まいの質が上がった現場です。工事をしていただいた工務店さんの素晴らしい仕事ぶりに感動しました。

こちらの計画では、眺めの良いポイントに造作ソファーを配置し、そこから外をぼぉっと眺めるという事が何より豊かな時間であると考えました。天気の良い日は富士山が見えます。見える日は気持ちが上がります。

(前略、茅ヶ崎のIさんご覧になられてますか? Iさんのお家を工事させていただいた工事監督のTくんがこの現場の工事監督です。再会し、また一緒に仕事ができました。Iさんまたみんなで会いたいですね!会いましょう!)

実例3-川崎の事務所-

ある会社の小さな事務所の計画です。工業地域なので、周りには工場が多く、鉄を溶接する音や叩くような音が常に響いている。そんな地域の一角、いくつかの住宅が集まる場所です。

こちらの計画では、建物の中に一歩入ると心穏やかになるような、静かでやさしい光に満たされた人の居場所をつくろうと考えました。寸法、奥行きや高さをとても気にして計画しました。その為、小さな事務所ですが、抑揚があり奥行きを感じる場所になっています。自然素材をふんだんに使用しているので、光の回り方が気持ちいいと思い、天井は曲面になっています。

現在、外構工事中ですので、緑が入った所を見るのが楽しみです。

どの物件も思い入れがたくさんあり、良い出会いがあり、良い設計になったのではと思っています。

間もなく迎える2年目。今、色々と計画させていただいております。一人ですが、じっくり丁寧に、良い設計ができるよう頑張ってまいります!

>

椅子を置いてみた 大きな掃出し窓のそばに なんだか居心地良さそう 見るような眺めはないけど空が見える 直接ひかりがあたってないのに 明るくて 爽やかで 清々しい 椅子もうれしそう ちょっと休憩したり 本を読んだり お茶を飲んだり そこで過ごす時間がお気に入りになった 縁側のような場所ができた - そこに在る豊かさ ささやかないい時間 いい住まいのご提案をさせていただきます -  

CTR IMG