ハマスホイとデンマーク絵画

こんにちは。月明設計室の中込です。

今回は、ハマスホイとデンマーク絵画のお話。

 皆さんご存じですか。ご存じの方も多いかと思います。今年、世の中が今のような状況になる少し前、東京都美術館で開催されていた絵画展。始まってまもなく、外出する事を躊躇する世の中になり、しばらくすると外出する事すらできなくなり、たくさんの人にその素晴らしさを届ける事ができず閉幕してしまった、今思うと少し悲しくなる、とても素敵な絵画展でした。私は運良く開催されすぐに訪れる事ができました。開催されるだいぶ以前から楽しみにしていた念願の絵画展だったからです。

今から7年ぐらい前、偶然、本屋さんで出会っていたのです。

 当時は読み方もわからず、ハマーショイって呼んでました。買うつもりもなく、たまには美術書でも見ようとパラパラみていると、そこには日本とは異なる生活感、異なる文化の中で営まれる人の暮らしのシーンが描かれており、興味深く眺めていました。普段からそのような素敵な洋書を買うような生活はもちろんしていませんので、買わずに帰ったのですが、何となくまた見たいという気持ちが強くなり別の日に買いに行ったようです。(…私はもう忘れていましたが、妻が記憶していました。)

 そんな出会いがあったので、まさか日本で展覧会が開催されるような日が来るとはと、開催される前からとても楽しみにしていたのです。

 ハマスホイはデンマークの画家です。1864年生まれですが、今見ても決して古さを感じさせない美しい暮らしのシーンを描いています。当時の私は、背の高い室内、格子の入った縦に長い腰窓、そして素敵な家具に魅了され、身近ではないけれど、その生活に憧れをもつような親近感を感じていました。必要なものだけを置く簡素な暮らしぶり、余計なものがないからより良く感じる事のできる移ろう自然の光やそこにある人や家具。静かな時間の中で、慎ましく生きているような、置かれている家具は高価に見えますが、そこに当時のデンマークの暮らしを忠実に見るよう、伝えているようでした。

 開催された展覧会では、ハマスホイだけではなく、当時のデンマーク絵画を多数展示していました。まあ、なんと素敵な絵画が多い事。見終えてまもなく、もう一度見に行こう思っていただけに残念でなりません。カタログでは伝わらない大きさや質感、色艶がありました。

 ハマスホイが生まれた1800年代のデンマーク絵画は、「黄金期」と呼ばれる時代で、多数の芸術家を輩出した時代だったそうです。見過ごされてきた風景の美しさだったり、身の回りにあるありふれた日常の中にある美しさを絵のモチーフにした時代。それまでの王侯貴族の肖像画から市民階級が主役となる自然や人の日常の中にある美しさに価値が見いだされた時代だったそうです。だからとても惹かれていたのだと思いました。みなさん誰もが何気ない毎日の暮らしを豊かにしたいと思っています。興味を持っています。そこにある美しさや豊かさ、素敵な暮らしを覗き見るような視点があるから、とても惹かれるのです。絵画の展覧会ですが、そこに住む人々の文化や歴史、暮らしを覗き見るような楽しさがたくさんつまった絵画展でした。デンマークは世界一幸福指数が高い国です。ヒュッゲという言葉も耳にする事が多くなりました。学ぶ事がとても多い国だと思います。余計なものがなく慎ましく生きながらも美しさを忘れない、簡素で静寂がある暮らし。そう考えるとすぐに思い浮かべてしまうのが、和室です。和室は美の世界だと思います。簡素で静寂、余計なものがなく慎ましく生きる。音や気配を感じ、移ろう光を感じる。床の間に活けられた花。美の世界がある。まさに和室と通じませんか。今、日本の暮らし事情を考えると洋風化された暮らしを元に戻すのは難しい。それでも色々な国で営まれている豊かな暮らしに学び、日本人らしい豊かな暮らしを考えていくべきだと思います。

 購入したポストカード達。今も手帳に入れて、ときどき眺めています。豊かですよね。少なくても私はこんな豊かな暮らしをしてないなぁと現代の貧しさを感じています。物質的な豊かさではない精神の豊かさ。これからの時代を前向きに見直しませんか。住まいで過ごす時間が何より大切です。

 こちらのハマスホイの作品は、東京都美術館のお隣、国立西洋美術館の常設展でいつでも見る事ができます。ぜひ行かれた際には探してみてください。またハマスホイとデンマーク絵画展は閉幕しましたが、オンラインミュージアムショップが6月一杯限定でオープンしています。宜しければご覧ください。https://hammershoi.shop/ またぜひ日本に来てください~。

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椅子を置いてみた 大きな掃出し窓のそばに なんだか居心地良さそう 見るような眺めはないけど空が見える 直接ひかりがあたってないのに 明るくて 爽やかで 清々しい 椅子もうれしそう ちょっと休憩したり 本を読んだり お茶を飲んだり そこで過ごす時間がお気に入りになった 縁側のような場所ができた - そこに在る豊かさ ささやかないい時間 いい住まいのご提案をさせていただきます -  

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