– 公共性 – 住まいの外観

こんにちは。月明設計室の中込です。

 開業して一週間。まだソワソワしています。今までとは気持ちが少し変わってきているようです。どうしたら月明設計室の目指す住まいの在り方をお伝えできるか、どうしたらそれをたくさんの人にお伝えできるか、お金はありませんが、時間があります。模索しております。

 インスタグラムもはじめております。宜しければ覗いてみてください。住まいの中に在るささやかな豊かさをお伝えできればと思っております。

 開業して一週間。うれしい事がたくさんありました。永く付き合いのある友人やお世話になった方々から嬉しいお言葉をいただきました。励みにして、今だからできる事、今だから伝えられる事、そういった事もお話できればと思っております。アフターコロナを考える。住まいへの関心も今までとは異なる視点が生まれています。

 今回は住まいの外観についてお話させていただきます。これは前に書き留めていたお話です。今だからこそ、考えてほしい視点です。

 住まいの外観。住宅メーカーが用意する。設計者が住まい手の為に考える。インターネットで検索すると出てくるたくさんの四角い、フラットルーフの家。窓には庇がなく、雨が入り、日が入りやすいつくり。それぞれ外観を良くしようと思ってつくった結果だと思う。でも何だか違和感を感じてしまう。

 妹尾河童(せのうかっぱ)の「河童が覗いたヨーロッパ」を読んでいると、その土地の気候風土、熱さ寒さ、日射量によって同じヨーロッパでも窓の在り方が違うという。地域や国ごとに人の気質が違うのは気候が関係しているという。

 また、ヨーロッパの人々は、他人に自分の生活を脅かされないようにする為に、見ず知らずの人に対して、最低限のマナーをちゃんともっており、それが地下鉄のスイングドアを通る時のマナーであったり、公園にいる動物や植物に対するマナーであったり、共存する為、そこで生きていく為に必要な公共性を持ち合わせている。

 だから統一された街並みがいつまでも残っているのだと思う。

 それに対しての日本の現状。今の日本は自由だ。昔は違ったのだと思う。自由でも最低限の公共性をもっていれば違ったのだと思う。これは規制ではなく、思想の話。住宅をつくる住宅メーカーも建てる建て主もみんなその家が素敵になれば良いと思っている。地域や街並みという単位、周辺の家々との関係とか、環境に馴染むという視点をおろそかにしている。

 だから本来、持っていなければならないその土地の気候風土に合わせて、自然と生まれてくる住まいの形(屋根、軒の出、庇、窓の大きさ、種類、外壁、素材、周辺の家との関係、植物の大切さ)はない。ヨーロッパの人々が、無意識のうちに備えている公共性を日本人が持っていないからだと思う。

 国によっていい所、学ぶべき所は異なる。その事を認めよう。

 かつての日本の住まいは整っていた。今も残っている所には残っている。使われている素材や形も同じようであった。

 外観は少なくてもそのような公共性が必要だと思う。

 外観で自己主張するのをやめませんか。その土地、地域や社会に馴染む外観。美しい街をつくるという事は、公共性を意識する所から始まるように思います。作り手も一緒に考えましょう。模索してこれからの日本にふさわしい住まいの在り方を考えたいと思います。

 下の写真は、本日(6/8)、夕方五時半ぐらいの事務所の写真です。北側の窓ですが、この時期は西日が僅かに差し込む、強いひかりを感じる事ができます。一日の中で、一番輝いた瞬間です。

 住まいに在るささやかな豊かさを大切に、その為に住まいはどうあるべきなのか、一番いい状態でその豊かさを捉え、感じられるようにするのが、設計者の務めだと思っています。外観は日本の気候風土に馴染むようにしながら、内部でその土地ならではの豊かさを感じられる、人と住まいと自然が共に生きていく、生きている事を感じられる住まいを目指します。

 未来の建て主様とお会いする日を楽しみに、毎日、模索して頑張ります。

 

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椅子を置いてみた 大きな掃出し窓のそばに なんだか居心地良さそう 見るような眺めはないけど空が見える 直接ひかりがあたってないのに 明るくて 爽やかで 清々しい 椅子もうれしそう ちょっと休憩したり 本を読んだり お茶を飲んだり そこで過ごす時間がお気に入りになった 縁側のような場所ができた - そこに在る豊かさ ささやかないい時間 いい住まいのご提案をさせていただきます -  

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